『直球だね、真耶。こいつの弱点、解ってる』
彼女は焔棠組の若頭、焔棠翔の奥さんです。
彼女もまた、私の母と同じく、夫に深く愛されてます。
『……真耶、気持ちは嬉しいんだけどさ』
夏渡は、目の前に跪きました。
『とりあえず、婚約って形で良い?僕は結婚できるけど、君はまだ、出来ないから。すぐにお婿さんは、無茶ぶりだよ。君はもう少し、世界を見よう』
優しすぎる彼は、私の手を取って、そう言いました。
『私の気持ちが、変わらなかったら?』
『その時は、結婚しようか』
私は彼を必要としてて、
彼は、女の人と関わってこなかった人でした。
ですから、お互いに都合が良かったわけで。
優秀だったら、縁談が収まらないでしょうし。


