確かに、千鶴姉さんは一目惚れをしたと言っておりました。
でも、何も悪いことではないと思います。
伴侶を選ばなければならない人間が、気に入った人間にプロポーズをすることで、何が問題あると言うのでしょうか？
……何もないでしょう。
どうせ、結婚させられる身ならば、自分で選んだ方が早いと言うものです。
『え、えーと、真耶？』
夏渡は、私とよく話してくれます。
私の話を理解してくれ、共感してくれる唯一の男性です。
その人を伴侶に望んで、何か悪いことがありましょうか？
『……君はまだ、小学生だよ？』
『だから？』
『結婚は早い……いや、恋愛は早いよ』
『そうね。でも、あと四年だわ。すぐよ』
『……』
『知らない人間と結婚させられるより、貴方の妻になりたい。そう望むのは、ダメなの？』
訊ねると、彼はそばにいた、実の姉を見た。
彼の実の姉である、美咲は笑ってて。
