「叩くことにさんせーい!ってことで、薫に電話してくるー!」
と、桜は部屋を飛び出した。
焔棠現当主、焔棠薫の最愛の妻である桜。
その願い事となっちゃあ、薫も動かざる得ないだろう。
何より、沙耶自身に彼も借りがある。
「じゃあ、御園を動かさないとね……夕梨、行きましょ」
「はーい!」
沙耶と相馬は喧嘩中だし、バレるわけにもいかないので、(いや、あとでバラすけど)できる限りの範囲内で、水樹と氷月にも協力をしてもらう。
まぁ、御園のどこかしら一部を動かしたこと、相馬に伝わらないはずがないんだが……
「っ……はぁ……」
徹底的に社会的抹殺をしてやろうと考えていると、沙耶の震える吐息が聞こえた。
感覚はまばらだが、これは……
「紗夜華、甲斐に電話して」
「あ、わかった!」
「んで、この事を説明するから、来てもらって。沙耶の呼吸器をもって」
「了解!」
スマホを取りだし、すぐに電話を掛け始める、この中で最年長の紗夜華。