「うちの会社しか使えないけど、和貴に紹介してもらってちょうだい」
「……」
私を見上げる彼に、私は告げる。
「誰にでもするものじゃないわよ。貴方が初めて」
「……っ、変な奴だな」
「そうかしら?」
兄弟よりは、まともだと思うのだが。
「………………さっき、叫んで悪かった」
彼は私にそう言った。
私は、微笑んで。
「悪いと思うのなら、弟を守ってあげてね」
兄姉が私たちを可愛がってくれるからか、私も兄弟というものにはつい、手を貸してしまう。
「そして、いつか、返しに来て。お金じゃなくて、そのカード」
「……は、ほんと、変わった女だ」
彼は笑う。
その笑顔に、私は惹き付けられる。
これぞ、一目惚れ。
どれだけ格好良かろうと、どれだけ綺麗だろうと、私は興味がないの。
貴方に……貴方の金の瞳に、私は惹き付けられるの。
「その時、ね」
彼の顎に触れ、それを持ち上げて、私がニヤリと笑ったとき、車が近づいてきた。


