☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3





「累斗は、大丈夫なのか……っ!?」


「熱はあるけど、大丈夫。あなたたち、家は?」


無言で、目をそらす男。


「……そう」


私はそれ以上、聞かなかった。


だって、それは、そういうことだろうから。


「とりあえず、治療ね。家に……」


裏門から入ろうとすると、


「お前、この家の人間か……?」


震える声で、少年が聞いてきた。


私は、それに頷く。


「ええ、それが何か?」


私の返答が、お気に召さなかったのか。


目を見開いた少年は、叫んだ。


「金持ちの世話にはならない……っ!」


と。


「……」


どんな理由があるのかは知らないが、別に、聞こうとは思わない。


私は……と、いうか、私たち兄弟は、あまり、物事に興味がないみたいで、私も無理矢理、聞き出そうなんて思わなかった……いや、思えなかった。


例え、感じた相手でも、無理強いは嫌だった。


「そう」


多分、この少年からすれば、金持ちが妬ましいのだろう。


苦労など、知らないのだから。


「……でも、そのままじゃ、累斗君は衰弱するだけよ?弟を救いたい、でも、この家に入りたくないと思うのなら、少し、待ってなさい」


自分の一言に言い返されるとでも思ったのか、私の返しが思ったものじゃなかったのだろう。


少年は目を見開いて、私を見ていた。


私は指紋認証をして、門を開けた。


「和貴!」


遠いが、視覚に入った和貴を呼ぶ。


私の声にすぐ反応した和貴は、駆けてくる。