「……ねぇ」
私は、大きい男の子をこづいた。
「うっ……」
呻き声をあげながら、黒髪の少年は顔をあげる。
瞬間、何かを感じた。
彼の瞳に、惹かれたのだ。
でも……その前に。
傷だらけで、泥だらけ。
孤児院から、逃げてきたのか。
私を確認した少年は、私の伸ばした手を振り払う。
「触るな……っ!」
警戒心丸出しの、男。
嫌悪感丸出しにされるのは、慣れてるけど……。
「……その子、大丈夫?」
私は、小さい男の子の安否が気になる。
昔から、子供らしくないとか、慈悲がないと言われてきたけど、心配なものは心配だ。
「累斗(るいと)、累斗……!?」
私の言葉で、小さい少年を揺する男の子。
「……見せて」
傷だらけで、発熱している。
これは……。
「自然の傷じゃなくて、人災?ってことは……」
この二人は、孤児院から抜け出してきたわけではないのか。


