なにも言えなくなっていた女どもは、
「両親……?」
困惑した感じで、聞いてきた。
「ええ。御園家総帥・御園相馬が私の父。申し訳無いけど、相沢という名字は偽物だから。父に直談判してちょうだい。最も、今、ロシアにいるけど」
その一言で、女たちは固まった。
「用事はそれだけ?じゃあね」
何にも、興味はない。
あるのは、将来だけ。
その為なら、友達だって要らないし。
何より……
「あ、千鶴ー!やっと、帰ってきた!」
幼なじみが、いるし。
私に全力で手を振るのは、幼なじみなんだけど。
「……何、この大所帯」
「いや、ほら、明日から休日じゃん?だから、本家に帰るでしょ?どうせなら、みんなで帰った方が早いってことで……」
「迎えに来た、と?」
「そうそう。葵さんと、紫月(しづき)兄さんが」
ニコニコ笑ってそう言うのは、千羽家現当主・千羽相模の次女・千羽琥紅(こべに)。
年は、同い年。


