「ごめんなさい……でも、どうしても、絋にも遊んで貰いたくて……」


「心遣いは嬉しいですけど、こいつらとはちゃんとつるんでますから。大丈夫です」


絋は、優しい。


だから、私が何をしても、許してくれる。


それこそ、昔から。


「絋……」


「はい?」


だから、不安になるんだ。


絋だって、人間だから。


「本当に、私のことなんて気にせず、何でもしていいからね?友達付き合いも、その……恋愛も。あくまで、私は仕事相手なんだから。日常のことまで、私は口出ししないから。だから……」


すると、返ってきたのは、溜め息で。


「まさか、ここまで鈍いとは……」


「もしかして、今までのこと、全部、仕事と思っている?」


「鈍感って、恐ろしいな……」


「いくら仕事でも、ここまではしないでしょ……契約以外の時間帯もそばにいるとか……」


なんか、こそこそ、みんなで言ってるけど……


「え、何?私、絋の日常を邪魔する以外に、何かしてる?」


邪魔しているのは、理解している。


その他に何か、あるだろうか。


「いや、邪魔ではないって言うか……」


「そもそも、日常……日常……えー」


高虎と太陽はぶつぶつ言ったあと、頭を抱える。


「えぇ?何で、みんな、そんなに困ってるの?」


((((あんたが鈍すぎるからだよ))))


全員、思ったことでも、勿論、言えなかった。


例え、絋の日常全てが、美耶に注ぎ込まれているとしても、本人は気づいていないから。


そして、美耶本人はそんなことを思われていることなど知らず、首を傾げて。


「あ、ねぇ、絋まで、頭抱えた!どうしたの?なんか、あったの?」


男四人が、目の前で頭を抱えてる。


慌てて、そう尋ねるけど、


「こりゃ、難関だぞ。絋」


「まず、自分にスポットライトを当てさせないと」


「鈍い子だとは思っていたけど、まさか、ここまでとは……」


三人は、そう呟いてて。


それに答えるように、


「ああ……」


絋は疲れたように、頷いた。



―続―