「何で、泣いているんですか……」
「うぅ……」
「バカに泣かされましたか」
「うぅ~」
「何なら、殴っておきますが」
「ちょっ……俺、なんもしてない……拳握るのやめて!マジ、勘弁して!」
煌月の声が聞こえる。
私は、手を伸ばした。
「絋ぉ……」
「……はいはい。よく、頑張りましたね」
すると、絋は抱き締めてくれて。
ぽんぽん、と、背中を撫でてくれる。
「怖かっ……た……」
「首絞められれば、誰だって、怖いですよ。しかも、見知らぬ人間から……泣きすぎです。泣かんで下さい」
「だってぇー!」
「ひさひざでしたもんね。これに懲りたら、外で逃走なんてしないように」
まるで、親子だ。
私は、こんなにも弱いんだ。


