手紙が、沙耶の赤で染まる……
「……和貴を呼ばなくちゃ」
「え?」
メイドが慌てて、救急箱を取りに行ったのに、沙耶は手紙を傷ついた手で握りしめ、そう言った。
「双子を、柚香を、迎えにいかなくちゃ……っ!さっき、本家を出たって連絡が来てた!和貴に迎えにいかせたから……お願いっ!夏翠!電話、貸して!!」
ドクドクと、溢れだす鮮紅。
「お願いよ、夏翠!私、柚香や双子に何かあったら、私……!!」
いつだって自分のことには無関心で、それでいて、何かあったら、自分を責めて。
そんな風に自分を保つ沙耶は、いつか、壊れる。
絶対に、御園の闇とは付き合えない。
「夏翠!」
真っ青な顔で慌てる沙耶の頬を、
「落ち着きなさい」
私は両手で包み込むように、叩いた。


