「―心配なんですよ。あんた、どこか抜けてるから」
「……」
「知らない人に騙されて、すぐにフラーッと消えそう」
「……どういう意味?」
「そのままの意味です」
「……」
「おまけに、ドジだし。こうと思ったら、突っ込んでいくし。少しは、女らしさを身に付けたらどうですか?」
「余生なお世話だっ!!」
すぐに、いつものパターンとなる。
「それ!あんたの部屋に置いておくから、貸して!」
学校持って帰ってきた来たらしい、大袋を指差す。
「いや、遊びに行くと言ってないです」
「良いから!」
「お金、家ですし」
「ほら、五万!」
「いや……どこの世に、主から金をふんだくる護衛が居るんですか」
呆れた絋の視線を受け、私は顔を背けた。
「良いから!お小遣い!」
万札を手で掴んで、絋に押し付ける。
すると、絋が訝しげな目でこちらを見ていた。
「……なに考えてます?」
「おとなしく、受け取ってよ!」
「いや、今夜、天気荒れますし。遊びに行くとか……」
私の考えをお見通しとばかりに目を光らせる絋。


