そんな絋が初めて怒鳴り声をあげたのは、中三の時。
『女子高に行くって……あんた、何考えてんですか!』
『良い学校だと思ったから、そこに行くの』
『相馬さまがお許しにならなかっただろう!?蒼繚華に進学が約束で……っ』
『絋』
私たち兄弟は、高校からは蒼繚華に通うよう、言われて育ってきた。
でも、私はすべてを完璧にすることを条件に、中学校に近い女子高に進学することを決めた。
『もう、決めたことなの』
私がそれを告げると、彼はもう、何も言えない。
わかってて、私は使ったんだ。
使いたくなかった、権力を。
『っ、なんで、勝手に……』
『絋に黙って動いたことは謝るわ。でも、私はこういう選択が良かったの。貴方には、光陽学校に進学して貰う』
でも、使わざる得なかった。
正直に話しても、彼は納得しないだろうから。
昔から、出逢ったときから、彼は色んなものを犠牲にして、私を庇ってくれた。
人の悪意からも、危険からも。
だから、彼の願いを、何か叶えたかった。
だから、尋ねてみた。


