書いてあったのは、やっぱり、似たような脅迫文。


「一番最初のは、沙耶の命だった。これを貰ったとき、一応、本家で大人しくしていたらしいんだけど……」


―コンコンっ


「はい、どうぞ」


震える沙耶の代わりに説明する千尋の言葉は、ノックオンに掻き消され、私はそれに返事した。


入ってきたのは、分厚い封筒を持った、使用人。


「ご歓談中、申し訳ありません。沙耶さま宛に、お手紙が……」


「なっ……」


どうせ、同じ脅迫文だろう。


沙耶は筆まめな性格ではないし、今のご時世、ある程度はメールのはずだ。


脅迫文以外、よもや、手紙は思いつかない。


「……メイドさん、ありがとうございます。私にください」


それを受け取ろうとした私の横を通り、沙耶はメイドからそれを奪い取ると、開け、手紙を取り出した。


「っ……」


途端、沙耶の顔は歪み、沙耶の手からは血が…………。


「……っ、また、カッターの刃か……」


封筒を逆さにすると、出てくる刃。


それを握り、手を傷つけるのを構わず、沙耶は手紙を開いた。