『こちらにお座りください』
あくまで、扱い方は“御園家の大切なご息女”だった。
他の人間と変わらない、うんざりしていたものだった。
うんざりするけど……これを、9歳でやってみせる絋にも感心していた。
同時に、絋の棒読み加減が面白かった。
『暖かな飲み物をご用意しております。これを肩にお掛けくださいませ』
棒読みも良いところだ。
なんかの台本を読み上げるかのよう。
『……フフッ』
気がつけば、笑い声をあげていた。
『……どうか、なさいましたか?』
『い、いえ……っフフフッ……』
取り繕っても、無駄である。
やはり、彼には隠せてない。
そして、私も、笑いを抑えることが出来なかった。


