そんな彼と出逢ったのは、9歳の時。


『一ノ瀬絋です。初めまして』


決して、良い初対面ではなかった。


だって……


『……で、なんで、木なんかに登っておられるのですか。お嬢』


私を見上げて、自己紹介をしやがったからだ。


『……貴女には関係ないことでしょ』


私は、彼にそう返した。


彼は初対面から、感じが悪かった。


『ま、そうなんですけどね』


9歳にしては、冷めていた絋。


私の言葉に食い下がることもなく、私を放っておいてくれた。