色々な生徒がいるこの学校。 そんな冬馬に声をかけることもせず、入ってきた女は、一心に本を読んでいて。 それは、三十分経った後でもそうで。 本来なら、声をかけてくるのに。 まぁ、静かなのは良いことだった。 景色を見るのにも飽き、やることなく、俺はぼーっと、空を眺めていた。 すると。 「グスッ……」 聞こえてきた、泣き声。 振り返ると、目に飛び込んだのは、本を手に泣いてる女。 ―異様な、光景だった。 女は本を閉じ、ハンカチで目元を拭っているが……気になって、仕方がない。