「なに?」


応じると、女は嬉しそうに笑う。


どうせ、すぐに飽きるだろうに。


自分は、女にとってブランドみたいなもの。


そんな自分勝手な理由に付き合わされてたまるか。


外では演じる。


自分でも、面倒くさい性分だと思う。


興味のない奴は、追わない。


勝手に視界に入りたければ、友達になりたければ、演じてあげるから。


友達になった優越感に勝手に浸ればいい。


一方的なお節介は要らない。


必要性を感じない。


無意識か。


昔から俺は女に冷たいらしい。


近づけない。


汚いとわかってるものに、近づきたくもない。


そんな俺を優しくたしなめるのが、兄である悠哉と冬哉で。


妹達も信頼できるからこそ、素を見せられる。


親しい人間には見せられる素を、友というものに見せられない。


それは、恐らく、私に似てしまったのだろうと、母さんは笑う。