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その後、何を話したのか、圭吾の父親は了承してくれて。
同じように、龍生と良太の親にも、柊真の交渉により、許可をもらった。
そして。
「何か、悪いなぁ……俺まで、送ってもらって」
圭吾とその兄貴の悠誠さん、龍生と良太と俺と柊真で、向かった先は京都。
「気にしないでください。ところで、夏休みですので、蒼繚華は何もないはずですが?」
「医学部だし、難しいから……夏休みも、勉強をしているんだ。正直、病院で、実際に働いた方が覚えるって言われるんだがな。そんな伝もなければ、キャリアもない。地道に、少しずつ……」
「自営業でよろしければ、紹介しましょうか?」
「え!?」
「俺、あるんです」
ニッコリと微笑んで……まぁ……
十中八九、こいつ関係の自営業の病院と言ったら、姫宮総合病院しかない。
「助かるよ!」
面倒見もよく、優しいから……就職を望む人間がたくさんいて、おまけに、患者さんに人気のある病院である、姫宮総合病院。
そこの病院長は、姫宮直樹。……柊真の祖父である。
「そんなことでよければ、いくらでも」
(確かに、家のことならな……)
俺も、いくらでもと言える。


