☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

□夏翠side■



「えーと……いらっしゃい」


それしか、言うことがなかった。


「あ、夏翠ーやほー!」


「……澪、これは何があったの?」


姫宮本家、東棟4階の摂待Ⅶの部屋。


使用人に言われ、来てみると、何故か揃っている面々。


「えっとねー、夫婦喧嘩!」


「えっ、相模と澪が?」


仲が良い……と、いうか、そもそも、相模自体がケンカするようなタイプじゃないのに。


「まさか!うちは、ラブラブですよ~今回ケンカしたのは、沙耶ちゃんと相馬くんでーす」


「………………また?」


よもや、それしか言えないのは、私だけではあるまい。


「夏翠、そんなに溜めんな」


そんな私に突っ込んだのは、千尋。


「いや、だって……どうせ、また、相馬がしょうもないことを言ったんでしょ?」


「……それは、知らん。なんか、泣いてたし……」


「沙耶が!?」


「……そこは、食いつくんだな……」


沙耶が泣いていたなんて、よっぽどのことである。


普段から、気丈で笑っている沙耶が人前で泣いたのだ。


柚香や、相馬以外の前で。