「あの、バカ息子」
圭吾の後ろ姿を見て、舌打ちしたお父さん。
そんなお父さんに近づいた柊真は、
「少し、お話良いですか?」
と、奥に、お父さんを連れていってしまう。
(あの笑顔……何を交渉する気だか……)
悪いことはしていないことはわかっているが、あいつの笑顔は本当に危険である。
「濃いなぁ、圭吾んち」
ふと、龍生がそう言った。
「それは納得」
横にいた良太も、同意する。
「……柊真と柏原も、何かを隠してるっぽいし」
その言葉に、心臓が弾む。
「……別に、何をバラされても、普通に友達でいる気満々だからな。俺ら」
でも、次に言われた言葉に、俺は素直に驚かざる得なくて。
「…………え?」
聞き返すと、当たり前みたいな顔で、二人は。
「ずっと、友達だ。何があってもな。そう、約束したろ?それに、俺はお前らのこと、好きだぞ」
龍生は照れ臭そうに、そう言って。
「俺も、好きだよ」
まるで、どこかの恋愛映画のワンシーンのように、二人は俺に微笑んでくる。
その状況が、おかしくて。


