☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「兄貴……帰ってたのか」


「ちょっと、荷物を取りにね」


手荷物を持ち上げ、笑う、長身の男性。


圭吾に似ていると言えば、似ているだろうが……どちらかと言えば、似ていない。


もしかしたら、髪を染めているからかも。


「初めまして。三浦悠誠(ゆうせい)です。圭吾より、五歳年上で、現在、二十歳です。蒼繚華学園付属大学医学部二年で、寮暮らしだから、会うこともあまりないと思うけど……宜しくね」


一言で言うならば、人が良さそうな爽やかな人。


「でも、夏休み中、圭吾が京都にいてくれるなら、いつでも会えるな」


「……何で、そんなに嬉しそうなんだよ?」


「可愛い弟に会えるから」


「……可愛い言うな」


「ハハッ、そりゃ、無理なお願いだ」


圭吾を物凄く可愛がっていることだけ、伝わってくるこの人は。


「いつだって、お前は俺の可愛い弟。お前を守ると、母さんとも約束したしな」


「……」


悠誠さんの微笑みに、無言になる圭吾。


圭吾もまた、兄を嫌っているわけではないらしい。


「と、いうわけで。父さん、圭吾の好きなようにやらせてやんな?俺の夢は、医者だし。場合によっちゃ、道場を圭吾に継がせるつもりだろ?」


「ゲッ、そのつもりなのかよ。くそ親父」


「くそ言うな。……ったく、顔は、母さんに似たくせに、どうして、そんなに口が悪いんだ」


……性格が似ているからかもしれない。


「明菜は、美人で、優しくて、料理上手で……」


「はいはいはいはい。もう、母さん自慢は良いから。母さんがすごい人なのは、知ってるから。じゃ」


父親の言葉を華麗にスルーし、圭吾は二階へ上がる。