「でしょう?周囲の言葉に、『金持ちだって、怪我ぐらいする。もし、その怪我で死んだりしたならば、自分の運がそこまでだったという話でしょ』と、言い放って……父さんに呆れられてましたからね」
「ハハッ、強いな」
「ええ。母さんは、強いです」
母さんにあったことのあるこの先生は、一番に家族の幸せを願ってる。
「……にしても、何で、いきなり、蒼繚華なんて……」
「柊真がお願いしたんですよ。脅したんじゃなくて、お願いです。そしたら、三人とも行く気になっちゃったて。まぁ、赤点常連でも、問題をちゃんと押さえればなんとかなるでしょうし……」
「あそこ、運動面でも入れるよな?確か」
「はい。それなりの条件をクリアしていれば、ですが」
「それを使えば、三浦は行けると思うんだが……」
「圭吾ですか?」
「ああ。あいつ、家が道場だから……空手の有段者のはずだ。だから、体育の成績は良い。体育の成績は」
わざわざ、二回言った先生は、頭をかいて。
「……ま、あいつらの将来だしな。受かろうが、どうなろうが……俺は、全力で助けるしかねぇか。教師として」
「……ですね」
「……もし、藤島が何かしようとしたら、止めてくれよ」
「分かってますって。でも、裏口入学とかはあり得ないと思います。あいつに限って」
「それもだが……」
言い淀んだ先生を見て、合点がつく。


