☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「お、おい、藤島、柏原っ……お、お前ら……」


この小林先生は、俺らの正体を知っている。


だから、蒼繚華も余裕だと言ってくる、が。


「大丈夫ですよ。先生」


「ふ、藤島?」


「絶対に、受からせますから」


絶対的な笑みで、柊真は慌てる先生を黙らせる。


思いっきりの威圧だ。


「そ、そうか……」


この先生は、少々、気が弱い。


でも、俺はこの先生が個人的に、とても好きだった。


何故なら……


「はい。じゃあ、夏休みに早速、勉強合宿ですから。失礼しますね」


「お、おう……」


欲がない先生なんだ。この人は。


「……相変わらず、怖いな。姫宮……藤島は」


「……俺しかいませんから、姫宮と言っても大丈夫ですよ?」


しまったという顔をして、口を手で覆う先生。


「そ、そうか?で、でも、万が一……」


「そんときは、そんときです。ってか、周りが騒ぎすぎなんですよ。別に、暗殺者くらい、自分で始末できるのに。母さんに言ってみて下さいよ。俺以上の身分のくせして、言いますよ」


柊真が三人を連れて、靴箱の方へ向かったお陰で、周囲に人はいなくて。


「……まぁ、想像がつく」


先生はため息と共に、そう、吐き出した。