「……卒業までとか言わないでさ、もう、ばらしちゃダメかな?」
「……秘密をか?」
「だって、三人のこと、俺、好きなんだもん」
柊真は、好きなものを好きと言わなかった。
昔から、何でも、人に譲るやつだった。
「…………良いんじゃね?」
こいつが、手にいれたのは……波琉だけだ。
波琉だけは、誰にも譲れなかった柊真。
「お前を巻き込むことになるけど、それでも?」
「たまには、お前も、我が儘を言っても良いと思うからな」
「俺、意外と我が儘だよ?」
「でも、本気なものには手を出そうとしなかった。小学校を卒業同時の波琉との婚約が、お前には良い薬となったみたいだな。三年間のお前は、普通の子供だったよ」
幼馴染みだから、そばで見ていられる。
そう言って、微笑めば。
「冬哉も、我慢上手だよね」
と、言われた。


