「そうなのか!?冬哉!」
「あー、うん」
現在、俺の父親役として、唐沢光輝さんが、表に出ている。
彼は、有名なスポーツ用品の社長であるが、見た目は一般社員として、俺の父親役を演じている。
何故なら、彼らの子供がもう、自立しているから。
悠哉兄さんたちが生まれて、すぐ後ぐらいに子供を授かった光輝さんは、子供たちから手を離してもいい時期、ということで、俺たちの両親の役をかって出てくれている。
用心して、俺と父親役の光輝さん、そして、その妻の朱里さんは、名字として、母さんの祖母の“柏原”を名乗っている。
因みに、柊真の両親役をかって出たのは、真姫さんと蒼生さんだ。
二人は、焔棠や御園の力となる楪家の当主夫妻だが、二人はパソコンでの仕事がメインなので、どこでもできるという理由から、“藤島”(これまた、母さんの祖父……黒橋に吸収された、有名だった藤島建設グループ)と名乗り、この町で暮らしてる。
勿論、俺たちが中学を卒業するまでという、契約つきで。
「本当の両親に会いたいと思わねぇの?」
「別に、そこまで……家に帰っても、父さんらいないことの方が多いし。母さんは笑顔で迎えてくれるけど、そこまで感動的ではないかな。大体、週一で帰ってるしね」
「だから、週末に遊べないのか!?」
「うん。まぁ、そんな感じ」
理由は、別にある。
俺が普通に遊ぶには、護衛が総動員されるのだ。
別に、一人でも大丈夫なんだけど……やはり、世界にも名を轟かせる御園財閥の御曹司ともなれば、扱いが違うらしい。


