☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「そうなのか!?冬哉!」


「あー、うん」


現在、俺の父親役として、唐沢光輝さんが、表に出ている。


彼は、有名なスポーツ用品の社長であるが、見た目は一般社員として、俺の父親役を演じている。


何故なら、彼らの子供がもう、自立しているから。


悠哉兄さんたちが生まれて、すぐ後ぐらいに子供を授かった光輝さんは、子供たちから手を離してもいい時期、ということで、俺たちの両親の役をかって出てくれている。


用心して、俺と父親役の光輝さん、そして、その妻の朱里さんは、名字として、母さんの祖母の“柏原”を名乗っている。


因みに、柊真の両親役をかって出たのは、真姫さんと蒼生さんだ。


二人は、焔棠や御園の力となる楪家の当主夫妻だが、二人はパソコンでの仕事がメインなので、どこでもできるという理由から、“藤島”(これまた、母さんの祖父……黒橋に吸収された、有名だった藤島建設グループ)と名乗り、この町で暮らしてる。


勿論、俺たちが中学を卒業するまでという、契約つきで。


「本当の両親に会いたいと思わねぇの?」


「別に、そこまで……家に帰っても、父さんらいないことの方が多いし。母さんは笑顔で迎えてくれるけど、そこまで感動的ではないかな。大体、週一で帰ってるしね」


「だから、週末に遊べないのか!?」


「うん。まぁ、そんな感じ」


理由は、別にある。


俺が普通に遊ぶには、護衛が総動員されるのだ。


別に、一人でも大丈夫なんだけど……やはり、世界にも名を轟かせる御園財閥の御曹司ともなれば、扱いが違うらしい。