「御園の総帥、誰か知ってる?」
「そりゃ、御園相馬だろ?」
「そうそう」
そう、それが、俺の父親。
「じゃあ、その人が溺愛しているという噂で有名な、その奥さんは?」
「有名な建築会社、黒橋グループの現総帥の妹?だっけ」
「確か……黒橋、沙耶?」
「有名だよな。相馬さんの溺愛っぷり」
「何か、すっごい美人らしいぞ」
「へぇ~殿上人は違うなぁ……」
……こいつら、本当に、俺と柊真の正体を知ったら、何を思うんだろう。
「その二人が子沢山なのは、知ってるよね?」
「勿論。有名だからな」
「何だっけ……この間、父親の後ろに長男が付いていってたやつが、テレビで流れてたよな。名前……御園、悠哉、だっけ?」
そうです。我が兄です。
「あんなでかい息子がいる割に、総帥は若いよな。いくつだっけ?」
「えー」
「どうだったかな……」
兄の年に比べて、父親が若いのは当たり前である。
だって、20で兄を授かったのだから。
「悠哉さんは、18歳。父親の相馬さんが、38歳だ」
俺が横から口を挟むと、
「へぇ、詳しいな。お前」
と、感心された。
詳しくて、当たり前だ。
家族なんだから。


