「……で、どこ行くんだ?」
興味津々な友人たち。
この人たちが“本物”の友人ならば、これからの人生、少しは華やぐだろうか。
「蒼繚華」
「は!?あのバカ高い、国一番の進学校!?」
「うん。父さんとの、約束だから」
「……怖いな、お前の親父」
「そう?意外と、放任主義だけど」
仕事で、家を空けることが多いから……怖いほどでもない。
と、いうか、生まれてこのかた、仕事以外で父親を恐怖したことがあったであろうか。
(母さんは怖いけど)
怖いって言っても、キレると怖いだけだし……大抵、その怒りの矛先は、父親に向かう。
「マジかよ~俺も、行ってみて~」
ふと、面子の一人がそう言った。
「蒼繚華?」
「ああ。何でも揃ってるし、自由なんだろ?」
聞き返すと、こんな言葉が返ってきて。
強ち、間違ってはない。
「うん。成績さえ高ければ、全額免除だし。どこへでも行き放題。何せ、姫宮経営だからね」
兄も姉も、蒼繚華に進んでる。
おまけに、父親は姫宮総帥と幼馴染みで、母親は親友だ。
つまり、姫宮とは、幼い頃から親しい関係にあった。
勿論、これは、秘密のこと。


