☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




「いきなり、こんなことを言って、ごめんなさいね。でも、考える時間はあるから。まだ、12月だし……少なくとも、4月……5月くらいまでは、行けるかな……うん」


「そんなには、待たせません。早めに、結論はだします」


「そんな急がなくていいのよ?貴方にも考えることとか、もし、行くならば、準備とかあるし」


「そうですね」


「あっちで、全部揃えてもいいけど……それは、貴方が嫌がるでしょう?」


財力を誇る御園にとって、それくらい、他愛ない。


お願いすれば、ホテルよりも素晴らしく、広い部屋が、一日で出来上がることだろう。


それこそ、何にも困らないくらいまで。


「当たり前です。そこまでのご厚意に甘えるわけにはいきませんし」


「言うと思った。でも、困ったら、いつでも言ってね?貴方は、私のかわいい息子の一人なんだから」


「そう言ってくださると、嬉しいです」


この人たちは、第二の親だ。


そして、彼らの提案してくれた案は、俺にとっても良いものだ。


でも、それを選べば……


『煌』


柔らかな、茅耶の笑顔が脳裏によみがえる。


(選べば、離れないといけない)


茅耶か、未来か。


どっちを選択すべきかわからなくて、俺の心の中は、いろいろな感情が渦巻く。


『ずっと、一緒だ』


早速、守れなくなりそうな約束。


決めきれず、結論を出せないまま、俺は笑みを浮かべてた。


障子の向こう……外で、誰が聞いているのかすら、気づかないまま。


「煌……」


障子の外で、少女が呟く。


俺の守りたい、愛しい女の子が。


このときの俺は、彼女に気づいていなかった。


     ─同じ空の下、今日も君を想う、に続く─