☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3

□柚香side■



蝶佳さんにお礼を言い、私は双子を連れて、御園本家を出た。


出たときの時刻は、午後、五時半。


「うばー」


双子が生まれ、早、一年半。


よちよちと歩く双子は、時々、私を振り返り、ニコリと笑う。


御園の庭はとても広いから……せめて、門までは歩いていこうと思ったのだが。


(……判断、誤ったかも)


「広いのはわかってたけど……広すぎでしょ」


広い庭には車が通るようの道路があり、そこ以外は、普通の金持ちの和風の庭。


「庭に、川……」


聞こえてくる、鹿おどしの音。


風流とは、こんなことをいうのだろうか?


川に架かる、石橋。


水面に浮かぶ、紅葉。


木々の間から差し込む光。


まるで、別世界のようである。


本当、庶民と金持ちとでは、価値観が違いすぎる。


私の旦那である、千歳も金持ちではある。


あるが、千羽家はここまではない。


確かに家はでかいけれど、でかいだけで、普通の家だ。


(妖怪とか、いろんなのが住みついているから……広いくらいがちょうどいい)


なのに、この家は部屋が余りまくっているというレベルである。