***


申し訳なく思いながら、漸く、辿り着いた目的地。


『ちょっ……離し……っ……』


……今、俺は盛大に戸惑っていた。


(ど、どうすれば良いのだろうか……)


『相馬!』


『良いだろ。どうせ、茅耶に見とれてるか、手を出してるかで、煌はまだ来ない』


『煌は来るわよ、あんたと違って、律儀、だから……』


『……何分かかるか、賭けてみるか?』


『ふざけんな!』


……中から漏れ聞こえる会話に、居たたまれなくなる。


どうやら、相馬さまにもばれているらしい。


……俺が、茅耶を好きなこと。


『煌はもう来る!茅耶のことを好きでも、手は出さない!どっかの誰かさんと違っ……』


『何度も言うが、嫁食って何が悪い?』


『開き直んな!』


これは、声をかけた方がいいのだろうか。


声をかけたら、沙耶さんには感謝されるだろう。


けど、相馬さまには……