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茅耶の部屋にいくと、昨日の夜に敷かれたと思われる布団が置き去りにしてあって。


その傍にある机の上には、勉強道具などがキッチリと端に寄せてあった。


(毎回思うけど、部屋が広いんだよ……)


この家自体が大きいから仕方ないことなのかもしれないが、茅耶の部屋には俺の部屋が三つ分、余裕で入る大きさがある。


俺の部屋が十畳だから……考えるだけ、恐ろしい。


「……頑張りすぎ」


「ん……」


敷いてあった布団に横たえて、上から、茅耶のお気に入りの毛布を被せる。


そして、頭を撫でてやれば、くすぐったそうに彼女は寝息を漏らした。


「…………ほんと、自分を誉めたいよ」


茅耶に惚れていると自覚したのは、いつだったか。


泣いてばっかりだった女の子は、もうすぐ、結婚できる年になる。


つまり、家関係の政略結婚をさせられる可能性もあるのだ。


こんなことをしている暇じゃないのは、分かっているが……


「俺、お前の笑顔が好きなんだよなぁ……」


……自分でも、バカだと思う。


狂おしいくらいに、茅耶を好きなのに。


なのに、俺は行動をしない。


茅耶の幸せを、祈るだけで。