「俺って言ってる時点で、ろくなことはない!」


「失礼な」


……家がどうであれ、茅耶と悠哉は普通の子供だった。


だから、普通に接してきた。


小さくて、普通にふざけることも許してあって。


そうしなければ、彼らは子供じゃなくなってしまうから。


「別に、ちょーっと、の情報だよ?大したことじゃないって」


「だから、それが怖いんだよ!」


「……あまり大声出すと、茅耶、起きちゃうじゃん」


「……誰のせいだよ」


「さぁ?」


惚ける悠哉は、再び、笑みを深めて。


「そう言えば、父さんと母さんが呼んでたよ?」


と、俺の肩を小突いた。


「まさか……」


「うん?それを伝えに来ただけ」


「……それを早く言え」


「だって。煌が学校行けっていうから」


「……」


「じゃ、確かに伝えたよ。おやすみ~」


「……ああ、おやすみ」


もう、なに言っても、無駄である。


何を言っても、悠哉は聞かない。


自分の信じる、自分の歩みたい道を勝手に行く奴だ。


もしかしたら、この家を継がないかもしれない。


「……ともかく、沙耶さんたちのとこに行くか……」


悠哉のことで考え始めたら、止まらない。


とりあえず、今、しなければならないことを終わらせようと思い、腕の中にいた茅耶を見た。


あんなにも騒いでいたのに、茅耶は起きる節もなく、すやすやと寝息を立てていて。


その安心しきった顔に、愛しさを感じる。


「本当、策士だよな……」


悠哉といい、茅耶といい……この双子は正反対すぎて、似ていないと思ってた。


でも、実際は、似通っている部分もあって。


二人とも、人を陥れるのが上手い。


まぁ、悠哉は策略的に、茅耶は無自覚で、だけれども。