「……でも、本当、何で、茅耶がいなくなってることを知ってて、無視してたんだ?一応、誘拐とかされやすいだろうに」
「だから、見に行かなかったのは……「寒いとかは、別として」……えー、だから、茅耶が外に出られないのはわかってるからだよ」
「あいつ、抜け道を知ってるだろ?」
「まぁ、御園の人間ですし、煌を迎えに行くほどだしね?」
「そこから抜け出すとか、思わないわけ?」
「全然。誰も心配してないよ。父さんに似てる千鶴なら、やりかねないけどね」
……考えてみれば、そうだ。
まだ、6歳……いや、7歳になったばかりのはずの彼らの妹である千鶴ちゃんは、天才だ。
学力的にも、身体的にも。
守られるということをあまり望まず、気に入ったものは徹底的に傍におき、邪魔になったら切り捨てる。
7歳児と思えぬ行動力を発揮し、いつも、使用人を困らせているほどで。


