「えー、僕もそんなにサボってないよ~」
やる気のない、無気力男になってしまった悠哉の一人称は、“僕”だ。
本気になったり、裏の仕事だったり、怒ったりしない限り、一人称は“俺”にならない。
「嘘つけ」
「嘘じゃないよ。ちゃんと、行ってる。10日間に1日くらいは」
「……せめて、3日は行こうか」
「3日!?多い!煌、頭おかしいんじゃない!?」
本気で心配してくるこの男は、本当に茅耶の双子の兄だろうか?
茅耶なんて、
『学べることは、全てやっておきたいんや』
と、いうほどに、勉強熱心なのに。
「学校に行ったって、人が群がるだけだし。行きたくないんだよ……」
「それは、お前が金持ちクラスを受けたからだろうが」
「……煌と同じ、一般にすれば良かった」
「じゃあ、移れば?」
「めんどい……」
「じゃあ、勝手にしろ」
そう、こんな男でも、茅耶よりも悠哉は注目を集める男なのだ。


