☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




泣き虫で、不器用で、すぐに落ち込んじゃったりとか、コロコロ表情を変える、幼馴染み。


強くなるってことを一生懸命考えた結果、伯母の真似をしはじめて……まぁ、可愛いから良いんだけど。


無理ばっかりして、本当、放っておけない。


そんな可愛い、可愛くて仕方ない、幼馴染み。


「ここじゃ、風邪引くか……」


暖房をつけたにしても、本家の部屋に比べたら、ここは寒い。


すっかり、夢の世界に旅立ってしまった茅耶を抱いて、俺は立ち上がった。


「……サボるか」


15歳の茅耶は、四月から高校生になった。


俺は茅耶の傍にいるために、夢を叶えるために、蒼繚華に進学した。そして、四月から三年生となった。


茅耶は相馬さまの言う通り、蒼繚華に悠哉と共に入学し、悠哉は首席。


そして、茅耶はそれに次ぐ次席として、美貌や家のことでも、悠哉と共に有名に。


高校に入ってからモテるようになったから、色々と心配事はあるが、舞以外ではこれほどかと言うくらいに鈍くて、弱いので、安心している。


高校卒業後も、俺は蒼繚華の大学の方に進学する手はずを整えているので、12月となった今でも、余裕であった。


(成績さえよければ、サボれる学校……最高だよな)


両親の配慮で、蒼繚華に通うことができているのだが……正直、将来はどうするべきか。


夢はと問われれば、色々ある。


やりたいことも、挑戦したいことも。


けれど、それをやるためには、茅耶との約束を破ることになる。


唯一、自分にだけ甘えてくれる茅耶を誰にも譲りたくない反面、茅耶には手が出せないから……傍にいるためには、すべてを捨てなければいけない気がする。