泣き虫で、不器用で、すぐに落ち込んじゃったりとか、コロコロ表情を変える、幼馴染み。
強くなるってことを一生懸命考えた結果、伯母の真似をしはじめて……まぁ、可愛いから良いんだけど。
無理ばっかりして、本当、放っておけない。
そんな可愛い、可愛くて仕方ない、幼馴染み。
「ここじゃ、風邪引くか……」
暖房をつけたにしても、本家の部屋に比べたら、ここは寒い。
すっかり、夢の世界に旅立ってしまった茅耶を抱いて、俺は立ち上がった。
「……サボるか」
15歳の茅耶は、四月から高校生になった。
俺は茅耶の傍にいるために、夢を叶えるために、蒼繚華に進学した。そして、四月から三年生となった。
茅耶は相馬さまの言う通り、蒼繚華に悠哉と共に入学し、悠哉は首席。
そして、茅耶はそれに次ぐ次席として、美貌や家のことでも、悠哉と共に有名に。
高校に入ってからモテるようになったから、色々と心配事はあるが、舞以外ではこれほどかと言うくらいに鈍くて、弱いので、安心している。
高校卒業後も、俺は蒼繚華の大学の方に進学する手はずを整えているので、12月となった今でも、余裕であった。
(成績さえよければ、サボれる学校……最高だよな)
両親の配慮で、蒼繚華に通うことができているのだが……正直、将来はどうするべきか。
夢はと問われれば、色々ある。
やりたいことも、挑戦したいことも。
けれど、それをやるためには、茅耶との約束を破ることになる。
唯一、自分にだけ甘えてくれる茅耶を誰にも譲りたくない反面、茅耶には手が出せないから……傍にいるためには、すべてを捨てなければいけない気がする。


