☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



沙耶の考えがわからず、何度目かわからないため息をもう一度つくと。


「―あ、紗夜華からメールが来てる」


甲斐はとうとう俺を無視し始め、スマホを手に。


「おい!」


なんか、本当にイラついて、そう叫べば。


「うるさいなぁ…………」


甲斐は面倒くさそうに俺を見、メールに視線を向け、固まった。


「…………甲斐?」


この鬼畜が固まるなんて、よっぽどのことである。


しかし、彼が今、触っているのはプライベート用の携帯だから、仕事関係での不備ではない。


紗夜華からメールが来てると、甲斐は言ったのだから……


「おい、紗夜華になんかあったのか?」


紗夜華は、身体が弱い。


ずっと、入退院を繰り返してきたほどである。


「いや、そういう訳じゃ……うん、でも……」


なんか、煮えきらない。


そんな返事をする甲斐は、電話してみる、と、部屋を出ていった。


鬼畜があんな様子なんて、珍しい。


もしかしたら、本当になにか、あったのか。


「……」


気になるが、今の俺にそれに気をかける余裕はなく。


「……ふぅ」


何の音もしない、部屋のなか。


漏れたため息だけが、静かに響く。


「……大事にしたい、だけなのに」


どうして、周囲の人間ができることを俺はできないんだろうか?


甲斐が出ていったせいで、余計に静かになった部屋の中で、相馬は項垂れた。