□茅耶side■




人には、生きる意味がある。


けれど、それを見つけられるのは、死ぬときだけ。


だから。


「……っ、はぁ、っ……」


私は死ぬほどに努力して、その死を迎えたい。


凍えるほどの寒さの朝。


私は巫女衣装で、扇を翻していた。


時刻は、午前5時。


楽士はいないので、無音。


そのなかで、私は舞う。


家のためではなく、自分のため。