☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「はいっ!」


彼に微笑んだ。


すると、彼も笑って。


「またね」


お互いに手を振って、別れる。


「……兄さんのさ、あんな顔、初めて見たね」


すると、背後で、冬哉さんがそう呟いて。


「あのさ、伊織ちゃんは何歳?」


と、訊ねてきた。


「えっと……美耶と同い年で、17です」


「17……高校は?」


「姫宮先生の許可が下ったら、戻ります。その為にも、美耶が勉強を教えてくれてて」


「そう言えば、美耶は蒼繚華に来ないわけ?父さんと約束だったのに」


冬哉さんは、振り向く。


「父さんにお願いして、高校までは今のところで通うの。絋にも友達がいるしね、私の事情で振り回せない」


「絋は、父さんとの約束を守れって言わなかったのか?」


「言われたわよ?でも、私が嫌だって言ったの。ただの幼馴染みのために、そこまでする、義理はないと私が考えてさ。だから、高校までは。大学からは、蒼繚華よ」


美耶は、鈍い。


ほんとに、鈍い。


それは、出逢って少ししか経ってない私が言えるほどに、彼女は鈍かった。