☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3




だって、彼は優しすぎるのだ。


春だから、まだ、日は長い。


だから、大丈夫だと微笑むと、


「すぐに戻ってくるからね。そしたら、一緒に猫と遊ぼう?」


と、彼は言った。


今日、出逢ったばっかりなのに。


彼は、親切だ。


とても、とても、優しくて、穏やかで、彼の言動や好意に、私の心は乱されて。


(男の人相手に、変なの……)


恥ずかしい話だが、初恋はまだである。


昔から、物語を作るのが好きで、妄想ばかりしていて……その妄想で、自分を登場させることが苦手な私は、自分の身の上での恋愛を考えたことがなかった。


当たり前かもしれないけれど、今まで出逢ってきた人達のなかで、悠哉さんや、御園のみなさんは、みんな綺麗。


妄想も膨らむものだが……この人達の存在が、私をこの世に引き留めた。


言わば、命の恩人だ。


沙耶さんは文字通り救ってくれて、美耶は私の心を楽にしてくれた。


悠哉さんは短時間で、私を仲間に入れてくれると言ってくれた。


それが、例え嘘でも、私は嬉しくて。