☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「ってかさ、母さんが兄さんのことを探してたんだけど。なんで、誰も伝えてあげないの」


「……忘れてた」


年のわりには大人びた少女は、兄姉を見遣り、ため息をつく。


「悠哉兄さん、父さんと母さんが探してたわ。恐らく、家のことだろうけど……」


「本当?分かった。行ってみるよ」


何か思い当たることでもあるのか、彼は頷くと、立ち上がった。


「伊織も、病室に戻った方がいいよね」


そうだ。


ここまで連れてきて貰ったんだから、私、一人では病室に帰れないんだ。


でも……


「ご両親が呼んでいるんでしょう?なら、早く、行ってきてください。私は、後でも構いませんから。場合によっては、裸足で戻ります」


彼の好意に、甘えることはできない。