「夏渡、昔から、兄弟を支えてきてさ。しっかり者だから、真耶を安心して任せられる」
「……悠哉さん、無駄に誉めないでください。俺ん家の事情、貴方、知ってるでしょう?姉さんが育ててくれたようなものなんで、俺はなにもしていないですよ」
控えめに微笑む彼は、スラッとしてて……なんか、運動をやってそう。
「謙遜しなくていいじゃん。サッカーでも、部を盛り上がらせたし、高校、大学と奨学金で通っているんだから、十分に凄いことだよ?」
「姉さんが変な仕事を始めないように、ですよ。あの人、放っておくと、すぐに無茶をしますし。母さんがなくなった後も、大分、気負って……本当、翔さんに感謝です」
「翔に?」
「はい。俺は、真耶を守らなくちゃならないし……いつまでも、家族のことを気にすることはできないので」
夏渡さんと悠哉さんの会話は弾み、悠哉さんは笑顔ではないけれど、完全に無表情でもない顔で、妹を見た。
「あまり、夏渡に迷惑をかけるなよ?」
「かけないわよ。別に、夏渡は婚約者であって、護衛と思ってないもの。夏渡は、私の大事な恋人。恋人以下の護衛なんて、必要ないわ」
さっぱりとしてて、何て言うか……美耶とは違うタイプだ。
どっちかって言うと、千鶴さんと似てる。


