☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「……伊織?」


自分の変な感情に戸惑いつつ、この感情の名前を考えていると、顔を覗き込まれて。


「わっ、は、はい!」


私は慌てて、返事をした。


「ボーッとして……大丈夫?」


「は、はい!」


愁眉に細められた、目元。


本当、綺麗な顔をした男の人である。


お伽の国から飛び出してきたような、そんな人。


「フフッ、そんなに元気があるなら、大丈夫そうだね」


常に無表情で、何を考えているのか、わからない人。


美耶たちは、そう言っていたけれど。


彼は、よく笑う。


他愛もないことで、笑って、元気をくれる。


彼の笑顔を見ていると、私も笑いたくなって。


意味もなく、私たちは笑いあった。



そこへ―……