「フフッ、美味しい?」
「すっごく!何ですか?これ」
どこのお店のだろうか?
生まれてから食べてきたお菓子のなかで、一番、美味しい。
サクサクな生地に、中に入っているクリーム。
甘くて、一緒に入っている果物はなんだろうか?
一口のサイズは、すぐに食べ終わっちゃって。
飲み込んで、彼の顔を見ると、
「僕の作ったお菓子。母さんに頼まれてさ。あ、伊織が母さんに預けた服とかなんだけど……直しておいたから。ダメなら、修正するから言ってね」
と、笑顔で言われた。
笑顔にだいぶ免疫ができたからか、真っ正面、至近距離で受け止めることはできたけど……心臓があり得ないぐらいにバクバクしてて。
「伊織?大丈夫??」
顔を覗き込まれて、息が止まりそうになり……正気に戻る。
ふわりとかおる甘い香りや、優しい笑顔。
って、そんなことよりも。


