「あ、ありがとう、ございます……」
「ん。どういたしまして」
初めての経験に戸惑うことしかできなくて。
なんとか、お礼を言うと、彼は隣に腰を下ろした。
「……伊織、つかぬことを聞くけどさ」
そして、口を開いた。
「ちゃんと、食べてる?」
「へ?」
「軽すぎ。片手で抱えられちゃったよ」
食べてるかと聞かれれば、前よりは減ったと思う。
けれど、そこまでひどいと言うほど、私は体重は減っていなくて。
「食欲は確かにありませんけど……食べてますよ?」
「本当?今も?」
悠哉さんがそう問いた瞬間、タイミング良く鳴る、私のお腹。
「……今は、空いてますけど」
そう言えば、お昼を食べていなかった。
私の顔は今、真っ赤であろう。
恥ずかしくて、顔を俯かせる。


