☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「……伊織、もう良いよ」


……外にいた。


「あ、猫さん!」


顔をあげると、木の上にいたはずの猫が、他の仲間と微睡んでいて。


「猫は、木に登っても大丈夫だよ。ちゃんと、降りてくるしね。……あ、伊織、足が汚れちゃうから」


窓の棧を飛び越えられたんだから、もう良いだろうと思って、悠哉さんから離れようとすると、


「シート、敷くから」


と、止められてしまう。


と、言うか、靴がないから、足が汚れるから、私はこんなことを悠哉さんにしてもらっているんだった……。


自分のバカさ加減を自覚し、悲しくなってくる。


「伊織?百面相して、どうしたの?」


私の名前を普通に呼ぶ、悠哉さん。


私を軽々と、片手で抱えながら、シートを敷いた彼は、私をふわりとそこに下ろしてくれた。