☆真実の“愛”―ただ、愛してる―3



「本当、あの人は……」


自分もかなりのマイペースだと自覚しているが、母親も相当だ。


何て、思いながら、伊織の病室のドアに手をかけようとすると。


「……っ、猫さん!」


と、部屋の中から、人間……いや、伊織が。


「って、うわっ、ぷ……」


俺の存在……否、僕の存在に気づいたけれど、止まれなかったらしい伊織はそのまま、突っ込んできて。


「ご、ごめんなさい!」


慌てた様子で、顔を上げた。


「でも、猫さんが……」


「猫?一体、どうし…………ああ」


病室の中を覗き込むと、大きな窓が目に入り、目を凝らすと、木の上に登って降りられなくなったらしい猫が目に入った。


「助けに行くの?」


「そりゃあ、猫さん降りられなさそうですし……」


「猫は自力で降りられるんだけど……」


猫の心配をしている伊織はかわいくて。


さっき、真っ赤だったはずの顔に『心配』と書いてあるように見えた。