「……いつも分かりにくいあんたがそんな顔して……何?そんなに、伊織に気に入る要素があった?」
「可愛いじゃん。普通に」
「……あんた、可愛いとか、単語、知ってたんだね」
「人のこと、馬鹿にしすぎ。それぐらい、生きていれば、知るでしょ」
母親は何がしたいのだろうか。
「…………伊織のこと、好きなの?」
真面目腐った顔で聞いてくる辺り、やはり、伊織が心配なのか。
「否、単なる興味?かな?」
「……何事にも、無関心野郎が……」
いや、だから、さっきから失礼すぎじゃない?
本当、この人のお腹ん中で10ヵ月も過ごして、生まれてきたのが自分とか……想像もつかないんだけど。
「……お願いだから、伊織を泣かせないでよね」
「泣かせるわけないじゃん。何で、泣かすのさ。冬馬じゃあるまいし」
「……それを否定できないのが、悔しいな」
母さんは一通り言いたいことを言って落ち着いたのか、最後の最後まで念を押して、父さんの方へと戻っていった。


