(めっちゃ、小説の主人公にしたい!)
午前に彼の姿をみたときよりも、そそられた創作の精神。
「―伊織、美耶、悠哉」
本当に寝落ちそうになっている彼を見上げながら、小説の展開を考えていると、そう、名前を呼ばれた。
「母さん」
顔をあげると、そこにいたのは沙耶さんで。
心なしか、さっきの光景を思い出して、顔が赤くなる。
「伊織、ご免なさい。さっき、私を探しに来たでしょ?」
「い、いえ!そんなっ、滅相もない!」
どうやら私は、自分の感情を抑えることが苦手らしく。
「その反応……もしかして、見ちゃった?」
沙耶さんが気づいたのか、苦笑して。
「ごめんなさい……見るつもりは……」
「良いのよ。伊織が謝ることはないわ。反省すべきなのは、このバカだから」
と、横にたっていた旦那さんの肩を叩いた。
「あ、は、初めまして……」
沙耶さんの旦那さんということは、御園の総帥ということ。
何か粗相があれば、人を消すことなど容易な立場の人。
絶対的なその雰囲気に、しどろもどろ、挨拶する。


