「伊織ー?」
彼の質問に答える前に、そんな声が聞こえて。
「あ」
その声の主を知っているらしい彼は、無表情の顔を上げて。
「あ、ここにいた。栞を落としてたから、持ってたら、病室とは逆方向に走っていくから、何があったかと……って、兄さん」
「美耶」
「どこにいたの?」
「ブラブラしてた。でも、眠くなったから」
「寝ればいいじゃん」
「外で寝てたら、危険だから、だめだって怒られた」
……正解は、沙耶さんらしい。
「あ、伊織は会うの、初めてだったね。この今にも寝落ちそうな人は、私の長兄。御園悠哉。動物好きで、口癖は『面倒くさい』な、24歳」
これが、噂の。
ハイスペックな、勿体無い兄貴!
「初めまして……御園、悠哉で………………」
「悠哉兄!立ったまま、寝ないで!」
……確かに。
小さな子供みたいである。
(勿体無いって、こういうところなのかな……)
イケメンで、身長は180以上あって、動物、子供好きで、大金持ちの長男で、母性を誘うような男……。


