「じゃ、じゃあ、探して……」
「車イスとか、いる?」
「ううん、歩けるから」
「そっか。……ついていかなくてもいい?」
「大丈夫。ありがと、美耶」
家族を喪ったことは、とても悲しいことだったけど……美耶と出逢えたことは、とても嬉しいこと。
ひとつずつ、思い出にするんだ。
みんなのことを。
(……すぐには、無理だけど)
心配をかけないように、元気にならなきゃ。
生きることは、恩返しになるって、沙耶さんも言ってくれたし。
「あ!もし、両親がイチャイチャしてたら、陰で様子見な!暇潰しに、これ持ってった方がいい!」
渡された、新しい本。
「私、伊織の書いた小説を読んで、待ってる」
『桜小道』とかかれた表紙を眺め、思わず、笑ってしまう。
「美耶、両親のこと、よくわかってるね」
「あの人たちと住んでたら、嫌でもわかるよ。……ほら、早く、行ってらっしゃい」
妹キャラに入るはずなのに、たまに、お姉ちゃんっぽいところ。
そんな美耶が、大好きで。
「行ってきます」
私は、美耶を大切にしたいと思う。
本を抱え、病室から出て、少し歩いたところ。


